http://cjeaing.sakura.ne.jp/news/
(Japanese) 上海市への投資契約額は全国トップに(2015 年の対中直接投資動向)
2015 年の華東地域(上海市、江蘇省、浙江省)の対内直接投資額(実行ベース)は前 年比 3.9%減の 596 億 9,400 万ドルで、全国平均が 6.4%増加した中で減少となった。 上海市は 1.6%増と 2014 年(8.3%増)から伸びが鈍化したが、契約ベースでは 86.5% 増えて全国トップだった。<自由貿易試験区が上海市の約 6 割に> 2015 年の華東地域の対内直接投資額(実行ベース)は前年比 3.9%減の 596 億 9,400 万ドルとなった(表 1 参照)。
減少幅は 2014 年(3.2%減)より拡大した。 上海市の対内直接投資額(実行ベース)は前年比 1.6%増の 184 億 5,900 万ドルで、中 国全体の 14.6%を占めた。全国平均の伸び率(6.4%)を 4.8 ポイント下回ったが、16 年連続でプラスを維持した。契約ベースでは 86.5%増の 589 億 4,300 万ドルと大幅に 増加し、全国トップとなった。契約件数は 27.9%増の 6,007 件で、2014 年から 2 年連 続して 2 桁増だった。 そのうち中国(上海)自由貿易試験区(以下、自貿区)の対内直接投資は、契約件数 が前年比 39.1%増の 2,802 件で上海市全体の 46.6%を占めた。中でもファイナンスリ ース、工業デザイン、旅行、遊戯設備の生産・販売、公演マネジメント、船舶管理、コ ールセンターなどの付加価値電信などの業種に対する開放措置が成果を挙げた。2015 年末までに、54 項目の開放施策によって計 1,300 件以上のプロジェクトが自貿区に登 録された。契約額は 350 億ドル超と上海市全体の約 6 割を占め、上海市の対内直接投資 の増加を牽引している。 <サービス業を中心に外資参入が拡大> 上海市の対内直接投資を産業別にみると、2015 年は第三次産業の実行額が前年比 2.7%減の 159 億 3,800 万ドルで、上海市全体の 86.3%を占めた(表 2 参照) 。
中でも 不動産業は 32.8%減の 56 億 600 万ドルと、実行額減少の主因になった。他方、金融サ ービス業は 84.6%増の 21 億 1,100 万ドル、インターネットを主とする情報サービス業 も 74.3%増の 7 億 8,200 万ドルと急増した。 投資の内訳をみると、上海華虹宏力半導体製造(3 億 2,000 万ドル)、上海光明荷斯坦 牧業(2 億 4,900 万ドル)をはじめ、医薬品大手のロシュ(スイス) 、化学の BASF(ド イツ) 、巴斯夫化学建材(中国)などが大プロジェクトへの投資を決定したことから、 2015 年は製造業の実行額が前年比 42.8%増の 24 億 9,000 万ドルとなり、構成比も 2014 年の 9.6%から 13.5%に上昇した。一方で、製造業の契約額は 15.9%減の 18 億 9,400 万ドルと減少傾向にある。 <地域統括本部などの新設も進む> 上海市には多くの多国籍企業が地域総括本部を設置し、貿易や研究開発(R&D)など の機能を拡充している。2015 年に多国籍企業の地域統括本部は 45 社新設され、化学・ 消費財大手のヘンケル(ドイツ)、半導体サプライヤーの NXP セミコンダクターズ(オ ランダ)、化学メーカーのアシュランド(米国)など 15 社がアジア太平洋地域本部を設 置した(表 3 参照)。
上海市は引き続き、中国で多国籍企業の地域統括本部が最も多い 都市となっている。2015 年にはまた、投資性公司(傘型企業)が 15 社、総合医療のフ レゼニウス(ドイツ)をはじめとする外資の研究開発センターが 15 社新設された。