(Japanese)中国の楽視網、米テレビ製造大手ビジオを買収

中国インターネット動画配信大手の楽視網信息技術(LeEco)は米テレビ製造大手のビジオ(VIZIO)を20億ドルで買収すると発表した。

この買収により、楽視網信息技術は本格的に北米テレビ市場に参入し、同社の動画コンテンツを含む複合サービスのグローバル展開を加速する狙いだ。

 

楽視網よると、楽視網信息技術はビジオのハードウエアおよびソフトウエア事業を完全子会社として運営するが、視聴データ分析事業は買収せず、別会社として切り離す。

ビジオのウィリアム・ワン最高経営責任者(CEO)は退任し、視聴データ分析事業を手掛ける新会社インスケープの会長兼CEOに就任、ビジネスの拡大に注力する。

ワン氏以外のビジオの経営陣は留任し、製品はビジオのブランド名で引き続き販売される。

楽視網信息技術は2004年に設立され、スポーツや映画、エンターテインメントなどの動画コンテンツの配信サービスを展開、2010年に深セン証券取引所に上場している。

同社によると、2015年に有料会員数は2,000万人を突破し、2015年の売上高は130億元(約1,950億円、1元=約15円)を超えたという。

 

また、インターネットとクラウドを利用した各種サービスを展開し、テレビなどの電気製品を販売している。

2013年に発売したテレビを300万台販売し、2015年に発売したスマートフォンは、既に500万台を出荷している。

また北京モーターショー2016では、自動運転式の電気自動車(EV)のコンセプトモデルを発表するなど事業領域は広い。

20164月には、カリフォルニア州シリコンバレーに北米初の研究開発拠点を開設し、800人を採用する方針を明らかにした。

 

楽視網信息技術は2016年の目標として、有料会員数5,000万人、グループの年間売上高100億ドル規模を目指すことを明らかにした。

同社がグローバル展開の第1弾として位置付けているのが、米国、インド、欧州など主要市場でのテレビ、スマートフォン事業の確立だ。

 

米国のテレビを含むオーディオ・ビデオ機器市場は約95%が輸入品で、人件費の安い国・地域で生産されたものを輸入・販売する構造となっている。

また、従来のオーディオ・ビデオ機器と同様の機能を持つパソコン、タブレット端末などの普及により代替品との競争が激化している。

 

米調査会社IBISワールドによると、オーディオ・ビデオ機器市場は1人当たり可処分所得や住宅着工件数と連動するとされる。

今後5年間で米国の1人当たり可処分所得は年平均2.5%、住宅着工件数は年平均4.8%の伸びが予測されており、オーディオ・ビデオ機器の消費も増加が見込まれている。