(Japanese) 中国PCB業界、企業買収や政府補助金でシェア拡大の動き

(Japanese) 中国PCB業界、企業買収や政府補助金でシェア拡大の動き

調査会社DIGITIMES Researchは2016年6月29日に公表したレポートで、中国系のプリント基板(PCB)業者が、16年に入って企業買収や価格戦でシェア拡大を図っていると紹介した。ただ、フレキシブル基板(FPC)、リジッド基板、IC基板等の技術力と生産歩留まりでなお台湾系、日系業者とは開きがあり、少なくとも今後5年で台湾系業者の地位を脅かすまでにはならないとの見方を示した。

DIGITIMESによると、PCB産業育成を図る中国政府の意向や補助金を後ろ盾に、中国では16年に入ってPCB業界で企業買収の動きが目立っていると指摘。一例として中国Dongshan Precision(東山精密)が16年初頭、FPC大手の米Multi-FinelineElectronix(MFLX)を6億1000万米ドルで買収したことを紹介した。また、この買収でDongshan Precisioが、原材料、部品の供給源を握ったほか、米アップル(Apple)からの受注を目指しているとした。

さらにレポートは、深センにあるKinwong(景旺)、WUZHU (五株)、LUXSHARE-ICT(立訊)、BOMINXING(博敏興)、Han’s Laser(大族激光)、BAIKAL(貝加)など複数の中国系PCB業者が中国当局から技術開発向けとして1社あたり300万元(1元=約15.5円)強の資金提供を受けたと紹介した。

こうした中国系PCB業者の動きに対し、DIGITIMESの伝えた台湾系のあるPCB業者は、「台湾系企業の主なライバルは受注を低価格で争奪する中国系企業ではなく、住友電工(Sumitomo Electric)、イビデン(Ibiden)、NOKグループの日本メクトロン(MEKTEC)など日系だ」と強調。「PCBは技術、品質、歩留まりが極めて重要。世界大手の顧客は、これらの確保の危険を冒してまで値段は安いが品質が不安定な製品を採用しない。アップルが中国系のPCBを採用してないのが好例だ。台湾系PCB業者は品質、歩留まりにおいて、中国系企業を大きく上回っている」などと述べた。

レポートは、PCBの世界トップ3は現状、MEKTEC、台湾フォックスコン(FOXCONN=鴻海精密=ホンハイ)傘下のZDT(臻鼎)、米TTMで、台湾系Unimicron(欣興)、台湾COMPEQ(華通)、台湾Tripod(健鼎)もトップ10入りを果たしたと指摘。また、スマートフォン大手の中国Huawei(ファーウェイ=華為)は、台湾系のPCBを採用していると紹介している。